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2013年4月20日土曜日

リンカーン(Lincoln)




鑑賞日:April 13th, 2013
個人的評価: 94点

参考情報

巨匠スティーヴン・スピルバーグによる、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの伝記ドラマ。奴隷制の廃止と禁止を強固なものにし、泥沼化した南北戦争を終結させるため、憲法の修正に挑むリンカーンの戦いを重厚なタッチで映し出していく。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などのダニエル・デイ=ルイスがリンカーンにふんし、国と人民の未来をめぐる理想と現実に苦悩する彼の胸中を見事に体現。『50/50 フィフティ・フィフティ』のジョセフ・ゴードン=レヴィットら、脇を固める実力派の妙演も見逃せない。

ストーリー

エイブラハム・リンカーンダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入したが、彼は奴隷制度を永遠に葬り去る合衆国憲法修正第13条を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意があった。そのためにも、国務長官ウィリアム・スワードデヴィッド・ストラザーン)らと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出す。そんな中、学生だった長男ロバート(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が北軍へと入隊し…
(C) 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION and DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC

感想

アカデミー賞では12部門にノミネートされ、結果としては主演男優賞と美術賞を受賞した本作品。
確かにダニエル・デイ=ルイスふんするリンカーン大統領は素晴らしかった。

大統領として、そして父親としてあらゆる苦悩を抱えながら、それでもブレる事なく立派に事を成し遂げるその様は今も昔も必要とされる最高のリーダーそのものだった。

弁護士職の経験もあるリンカーンは、人々を説得するために論理的な説明や法に基づく根拠など挙げる事ができるので、リーダー自身がそういった高い知識力と知恵を存分に発揮していた事が、最も愛された大統領の一人と呼ばれる由縁なのかもしれない。

ちなみにリンカーンの長男ロバート役をジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じていたのだが、最近ご活躍されているからか予告編などでは重要な登場人物のように紹介されているが、登場シーンが結構少なく、完全な脇役でした。

逆にトミー・リー・ジョーンズが素晴らしい演技を見せており、個人的には助演男優賞をあげたいぐらい。黒人の自由を主張するトミー・リー・ジョーンズを見ていると、『メン・イン・ブラック』シリーズで彼と長年コンビを組んでいるウィル・スミスのが頭に浮かんでしまう。

その流れで、マイケル・ジャクソンだったり、マイケル・ジョーダンなども頭に浮かんできた。奴隷制度がもし存続していたら、もしかしたら彼らも注目される事がなかったのかもしれないと感じてしまい、奴隷制度廃止が歴史的にどれだけ大きい出来事であったかを再認識した。

トミー・リー・ジョーンズの起用にそんな効果を期待していたかは分からないが、少なくとも自分にとって彼の抜擢は大正解だったと思う。

ちなみに犬は一切登場しない。1800年代はまだ犬を飼う習慣がないのかも。

そして映画は150分ぐらいある長編なので、観る直前にトイレに行って、ポップコーンは多めに買っておいた方がよいでしょう。


2013年4月13日土曜日

ヒッチコック(Hitchcock)




鑑賞日:April 13th, 2013
個人的評価: 94点

参考情報


数々の傑作を世に送り出したサスペンスの帝王アルフレッド・ヒッチコックの知られざる素顔に迫る伝記ドラマ。仕事のパートナーでもあった妻アルマ・レヴィルとの愛の葛藤も交え、名作『サイコ』製作の舞台裏などが描かれる。監督は、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』のサーシャ・ガヴァシ。ヒッチコック夫妻には、共にオスカー受賞者で本作が初共演となるアンソニー・ホプキンスヘレン・ミレン。さらにスカーレット・ヨハンソンジェシカ・ビールら豪華キャストが脇を固める。


ストーリー


1959年、作品の高評価とは裏腹に監督としてはアカデミー賞に縁遠かったアルフレッド・ヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)は、後にサスペンス映画の金字塔と称される『サイコ』の製作に着手。しかし独創的かつ奇抜であるがゆえに資金繰りは難航し、数々の困難に見舞われてしまう。さらに、常に彼を支え続けてきた最大の理解者である妻アルマ(ヘレン・ミレン)との関係までほころびが生じてきて…

(C) 2012 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

感想


万人受けする内容ではないかもしれないが個人的には最高に面白かった。

サスペンスの帝王と呼ばれた天才ヒッチコックだが、彼の成功の裏には妻の支えあり。
この夫婦愛にはとにかく感動した。映画を見た感想として「感動した」って日本人の得意文句なのであまり使わないようにしているのだが、この作品を見ていて本当に胸がジーンときたのだ。

Fox Searchlight Pictures / Photofest / Zeta Image

天才には普通の人には見えない何かがハッキリと見えている。それは天才的な頭脳を用いて論理的に考えたからではなくて、何故か見えてしまうのだろう。天才と呼ばれる本人達は自分でも何故普通の人々とは違う何かが見えているのかは分からないのだろう。こう思わせてくれるぐらい、この作品にはアイディアなどが生まれる瞬間を天才の視点から描いているシーンが多々あり、天才たちの思考を少し覗く事ができる。

Fox Searchlight Pictures / Photofest / Zeta Image

脳内では傑作として既に完成している作品を天才達は創り出すのだ。だが、当然その作品を作るサポート役の人々は完成品が全く見えないので全力で手伝う気にもなれない。

今回のストーリーでも「サイコ」という前例の無いホラー映画を撮るための資金を工面できないシーンがある。また、究極の恐怖を表現するために人を刺し殺すシーンなどを取り入れようとしたヒッチコックはそういったシーンをカットしないと上映させないと言われるなどあらゆる壁にぶち当たる。

Fox Searchlight Pictures / Photofest / Zeta Image

無難なテーマを選択すればそこそこの成功をほぼ確実に収める事が出来たにも関わらず、資金調達のために自らの家を担保に借金をするなど、引退前と言われているおじいちゃんには考えられない大胆な行動を起こすヒッチコックとそれを支える妻の姿勢に感動する。

天才のアイディアを形にするための架け橋となる優秀な妻。
この息ぴったりの奇跡のコンビが揃った事により、本格的なホラー映画という新たなジャンルが世に生まれる。

自らの人生を犠牲にする覚悟で面白い映画だけを追及する様な天才達(とそのパートナー)の努力によって僕らはこんなにも面白い映画を今見る事が出来ている。

この作品を通して映画というエンターテインメントの歴史の深さを感じる事ができた。
それだけで、映画好きとしては何だか感動してしまった。


あと、ヒッチコック家には小型犬が2匹いた。
よくしつけられていて、天才夫婦の犬にはぴったりだでした。


2013年4月6日土曜日

君と歩く世界(Rust and Bone)




鑑賞日:April 6th, 2013
個人的評価: 84点

参考情報

監督作『預言者』がカンヌ国際映画祭セザール賞を席巻したジャック・オーディアール監督が、オスカー女優マリオン・コティヤールを主演に迎えた人間ドラマ。事故で両脚をなくし絶望し切ったヒロインが、粗野なシングルファーザーとの触れ合いを経て生きる希望を取り戻していく。マリオンの相手役には、『闇を生きる男』のマティアス・スーナールツ。膝から下を失う大事故に見舞われながらも、再び力強く歩み始めるヒロインの姿が胸を打つ。

ストーリー

南仏の観光施設でシャチの調教師をしているステファニー(マリオン・コティヤール)は、ショーの最中に事故に遭い、両脚の膝から下を失ってしまう。失意の彼女を支えたのは、不器用なシングルファーザーのアリ(マティアス・スーナールツ)だった。粗野だが哀れみの目を向けずフランクに接してくる彼と交流を重ねるうちに、ステファニーは次第に生きる希望を取り戻していく。

(C) Why Not Productions - Page 114 - France 2 Cinema - Les Films du Fleuve - Lunanime

感想

とにかくマリオン・コティヤールの美しさが印象に残る。
また、フランス語で話す彼女に、いつもとは違う魅力を感じる事ができる、

事故で両脚をなくし絶望した女性が一人の男性と出会い、生きる希望を取り戻していく姿を描くヒューマンドラマとあらゆる所で紹介されているし予告編もそんな感じだが、どちらかと言うと主人公は男性の方で、彼が人生の大きな出来事を経験する事によりどう成長していくか表現した作品だ。
(まぁ「主演:マリオン・コティヤール!」って書けば映画を見てくれる可能性が高くなるからだろうけどね)

これが本当の純粋さだと思わせるほど、男はやりたい事をやるし、言いたい事をいつでも言う。
両足を失ったばかりの女性に対して「泳ぎたくなったから俺は今から泳いでくるけど一緒に泳ぐ?」と誘ったり、「セックスしてみる?」等の質問を何も考えずにサラッとしてしまうどこか動物的な男だ。

好きな様に生きるためちゃんとした仕事もなく、妻とも別れ、姉の家に転がり込み、挙句の果てには引き取った子どもの世話さえもあまりしないどうしようもないダメ男だ。

そんな彼の純粋な行動に接したヒロインが少しずつ惹かれていくと同時に、両足を失ったショックからも立ち直っていく様は美しい展開だった。

ただ、それ以上にこのどうしようもない男が自分勝手な行動で周りの人々を深く傷つける事により、自らの欠点にようやく気付いていき、改善を考え、行動するというシーンに感動する。

どうしようもないと言われている人達は実はしっかりとした能力を持っているのだが、それを存分に発揮するためのキッカケに出会えていないだけなのだろう。

いつかどこかで自らの愚かさに気づき、改善をするのではないかとそんな希望が湧いてくる作品でした。

ちなみに主人公が転がり込む姉の家にはブリーダーから有料で一時的に預かっている子犬たちがいて、主人公の息子と仲良くなるシーンがある。
貧乏だが、そんな事を忘れてしまう犬とのひとときに和むよ。