鑑賞日:November 8th, 2014
個人的評価:90点
参考情報
『バベル』などのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが監督を務め、落ち目の俳優が現実と幻想のはざまで追い込まれるさまを描いたブラックコメディー。人気の落ちた俳優が、ブロードウェイの舞台で復活しようとする中で、不運と精神的なダメージを重ねていく姿を映す。ヒーロー映画の元主演俳優役に『バットマン』シリーズなどのマイケル・キートンがふんするほか、エドワード・ノートンやエマ・ストーン、ナオミ・ワッツらが共演。不条理なストーリーと独特の世界観、まるでワンカットで撮影されたかのようなカメラワークにも注目。(©シネマトゥデイ)
ストーリー
かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め…(©シネマトゥデイ)
© https://www.facebook.com/BirdmanMovie/photos/ |
感想
斬新なアイディアがいくつも重なった事により、今まで誰も見たことのないスーパーヒーロー映画が誕生。見始めると「あれ?ヒーロー映画だと思ってたけど違うぞ…」
と感じるだろうが、見終える頃には「新しいヒーロー映画だ!」と思うでしょう。
本レビューでは特に印象に残った以下の3ポイントを紹介したい。
- ヒーロー映画を知り尽くしたキャスト陣
- ほぼワンカットで約2時間ぶっ続け!
- 「舞台」と「映画」を融合した斬新かつ最先端のアイディア
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ヒーロー映画を知り尽くしたキャスト陣
主役のマイケル・キートンはティム・バートン監督のバットマンで初代ブルース・ウェインを演じており、正にスーパーヒーロー映画ブームの火付け役とも言える。そんな彼を落ち目の元スーパーヒーロー役者という設定で起用した事にも驚きだが、それ以外にもヒーロー関連の役者が揃っている。
才能はあるが性格が最悪な名脇役を演じたエドワード・ノートンはインクレディブル・ハルクでハルクを演じている人だし、僕のイチオシであるエマ・ストーン(今回は娘役)はアメイジング・スパイダーマンシリーズでヒロインを演じている。このキャストによるブラックなヒーローコメディはホント最高でした。
ほぼワンカットで約2時間ぶっ続け
そして本作品の大きな特徴がカメラワークだ。
恐らく数分間の長い芝居を上手く編集でくっつけてワンカットのように見せているのだが、この撮影手法によりまるで映画の生中継を見ているような不思議な気分になる。この手法を用いた高クオリティーな作品は誰も見た事がないだろう。きっと「技術賞」とか「撮影賞」とか多くの賞を受賞すると思います。
「舞台」と「映画」を融合した斬新かつ最先端のアイディア
「元映画スターが舞台に挑む映画」というストーリーだが、舞台のキャスティングからリハーサル、プレビュー(試写会みたいなもの)、そして本番まで全てが先ほど説明したワンカット手法で表現されているので、映画を見ている事を忘れて舞台に来た感じになる。
また音の演出に明らかにこだわっていて、映画の大部分ではドラムの音が長く続く。このドラムサウンドがまるで舞台を見ているような気分にさせるマジックだと感じた。例えば本場のミュージカルを見た人は分かると思いますが、舞台付近に実際に楽器を生演奏している人がいるのが一般的です。今回はこのドラムサウンドを長く活用する事により、スクリーン横にドラマーがいる気分になる。英語の公式サイトでもこのサウンドが流れているので、ぜひ聞いてみてください。
3つのポイントを挙げたけど、個人的にはこれらのポイントがサブタイトルでもある "The unexpected virtue of ignorance"(無知がもたらす予期せぬ奇跡)ともリンクしていると感じており、ここらへんまで含めて非常に深い作品でした。
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最後に上図にも書いてある「ローリングストーン誌」のコメントを紹介したい。
「真の映画ファンが絶対に見逃さない作品」
「真の映画ファン」という定義は人それぞれだけど、例えば映画会社のスタジオ・ツアーに行った事がある人にとってはたまらない映画だと思います。
なお、ワンちゃんは登場しませんでした。
斬新かつ最先端のアイディアとテクニックが詰め込まれた新しいスーパーヒーロー映画。真の映画ファンが絶対に見逃さない作品でしょう。 【劇場で毎年50本みる帰国子女の洋画レビュー】 #バードマン http://t.co/v8yIQrOIby pic.twitter.com/y1j4JTQS0b
— 落合弘幸 Hiroyuki Ochiai (@Hiroyukiochiai) 2014, 11月 9
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